参考書籍と言っても、必ずしもおすすめ書籍という訳ではありません。部分的に賛成など。そのため、「その他書籍紹介」と分けました。

 

上野晴朗 信玄の妻―円光院三条夫人 新人物往来社

 

 上野晴朗 武田信玄 下巻 母と子 潮出版社

 

上野晴朗 定本武田勝頼 新人物往来社

 

磯貝正義 武田信玄のすべて  新人物往来社

 

 奥野高広 武田信玄 吉川弘文館

 

芳賀幸四郎 三条西実隆 吉川弘文館

 

今谷明 戦国時代の貴族 講談社学術文庫 

 

腰原哲朗訳  甲陽軍鑑 ニュートンプレス

 

笹本正治 武田信玄―伝説的英雄像からの脱却  中公新書

 

笹本正治 戦国大名の日常生活 講談社選書メチエ

 

本正治 ミネルヴァ日本評伝選 武田信玄 ミネルヴァ書房

 

横山住雄 武田信玄と快川和尚  中世武士選書第6巻 戎光祥出版

 

信玄にとって宗教・領国経営など、多岐に渡る、良き相談相手であり、大きな影響を及ぼした禅僧である快川和尚についての本です。

これまであまり本格的に取り上げられことがなかった、信玄に甲府へ招聘されるまでの、彼の前半生や、義信謀反に関しての快川和尚の意見・快川和尚の個々の弟子達についての解説など、興味深い内容となっています。

ただ、いまだに、信玄と義信の不和の原因として、勝頼の高遠城主就任を、義信が反対した事が原因という旧説を挙げているのは、賛成できないものを感じました。

現在では、主要因としてはやはり、駿河侵攻を巡っての、政策上の対立が、挙げられている事が多いようなので。

 

 他に気になった点としては、最初からそれ程期待もしていなかったとはいうものの、その葬儀に際し、大導師を務め、出席した導師達の中でも、最も多くの言葉を費やして、三条夫人のその生前の人柄・業績などについて、詳細に追悼の言葉の中で述べているなど。

このように、日頃から夫信玄も交え、快川和尚との深い交流があったと思われる、武田信玄正室の三条夫人に関しては、相変わらず、ほとんど言及がなく、そこは残念でした。

特に、元亀二年に高遠の建福寺で行なわれた十七回忌に続き、天正七年の十一月六日に勝頼が甲府の長禅寺で行なった、諏訪御料人の二十五回忌には、快川和尚も出席したのであろうと書かれていて、このように、諏訪御料人の法要については記されているのに。

しかし、一方この快川和尚本人が大導師まで努めている、三条夫人の葬儀については、一切言及がないのが、一番納得がいきませんでした。片手落ちではないでしょうか?

 

それに、彼の弟子の一人で、これも三条夫人の葬儀に出席し、追悼の言葉を述べている末宗に関する説明の所でも、彼も三条夫人の葬儀に参列し、追悼の言葉を述べている事について、一切触れられていませんでした。

やはり、武田信玄正室とはいえ、相変わらず、三条夫人は無視されている、忘れられている存在なんだなあと、思わずにいられません。やはり、現状では商業出版物の中での、三条夫人の扱いに関して、あまり多くを期待しない方が良いのでしょうか。

 

 戦国武将の肖像画 二木謙一・須藤茂樹 新人物往来社

 

武田家関連では、武田信玄・武田信虎・武田勝頼(信勝・北条夫人の三人形式)、穴山信友が収録されていました。

当時の風俗や服飾なども、以前からとても興味のあるテーマだったので、大変興味深く読む事ができました。

ただ、武将達の肖像画の収録数の多さに比べて、女性側はというと、圧倒的に著名な戦国女性達で、すでに様々な本でもお馴染みの、かなりこちらは少なめの肖像画しか収録されていなかったのは、残念な気がしました。

それから、これは武将の肖像画の方もそうなのですが、この「賛」の方の文章も、一緒に掲載してもらえた、もっと良かったのになと思いました。

当時の描かれた人々の生前の人柄・教養などを知る上で、貴重な情報元であるようなので。

 

いつもこういう人物達の肖像画を見る度に、上部の方に書かれている、これらの「賛」の文章の内容も、大変気になっていたので。絵と共に、月日が経つにつれて、文字が滲んだり、色が褪せたりして、解読が難しくなってしまっているという事でしょうか?

珍しい所では、徳川家康家臣の藤堂高虎正室の久芳院、織田信長五女あるいは六女で豊臣秀吉側室、後に二条昭実に嫁いだ、三の丸殿、家康と築山殿の長女亀姫などの肖像画も掲載 されていた事でしょうか。それに、この三の丸殿の墓所と画像のある京都の妙心寺の敷地内にある雑華院の他にもある、お寺の一つの、隣華院には、 建物・肖像画共に非公開のようですが、 信玄と油川夫人の娘の菊姫の肖像画も、あるようです。

 

そして、その肖像画には生前に彼女が帰依していたと思われる、南化玄興和尚による、賛も添えられているようです。この賛は、慶長九年の二月吉日に書かれているようで、菊姫の同年の二月十六日の命日と同時期のようですし、おそらくこの肖像画も、彼女の死亡前後の時期に描かれたと考えていいと思います。

どうも、こちらの肖像画は、これまでどういう形でも、公開された事がないようで、残念です。

 「慶長九年二月吉日 梅岩周香禅定尼(菊姫)肖像賛」に、この時彼が妙寺に四住目であった事を示す、「四住妙心南化叟玄興」との署名がある。南化玄興は、慶長八年に三の丸殿の肖像画の賛を作り、翌年の慶長九年には、菊姫の肖像画の賛を作ったようです。

 

黒田基樹 戦国北条氏五代  中世武士選書第8巻 戎光祥出版

 

三条夫人の長女黄梅院が嫁いだ、後北条氏に関する本です。

新人物往来社の「戦国北条一族」の復刊本らしいです。

私も以前からこの本の存在は、気になってはいたのですが、入手する機会がないまま、現在に至ってしまいました。

割とこの「戎光祥出版」は、以前に参考文献で紹介した、「武田信玄と快川和尚」といい、地味ながらも、良質の戦国本を出している出版社でないかと思います。

新人物往来社も、「信玄の妻 円光院三条夫人」を、復刊させてくれるつもりがないのなら、いっそ版権を、手放してもらえないですかね?復刊の期待は低いとはいえ、別に全然元の出版社の、新人物往来社での復刊に、こだわるつもりはないので。

同じ上野先生の、やはり長らく絶版になっていた「山本勘助」の方は、大河「風林火山」放映決定のため、すぐに復刊されたのに・・・・

 

相変わらず、三条夫人関連本は、不遇が続きますね。

もう今後商業出版で、斬新かつ実証的な夫人単独の伝記等が出版される事は、期待していないので。むしろへたな内容のものを出版されて、徒に失望させられるより、ましとすら思うようになっていますし。せめて既存の、信頼する研究者上野先生の手になる、この本の復刊だけでも、叶わないものでしょうか・・・

もう今年の夏で、三条夫人四四二回忌になるのですが。

もう、だいぶ私の所持する本書も、長年の使用により、傷んできてしまったため。

 

天野忠幸 ミネルヴァ日本評伝選 三好長慶  ミネルヴァ書房

 

長江正一 三好長慶  吉川弘文館

 

小和田哲男  史伝武田信玄 学研

 

小和田哲男 ミネルヴァ日本評伝選 今川義元 ミネルヴァ書房

 

平山優 川中島の戦い  学研

 

柴辻俊六 武田勝頼 新人物往来社

 

鈴木良一 後北条氏 有隣堂

 

武田家と入明寺

 

千葉乗高 顕如上人ものがたり 本願寺出版社